新潟みつば司法書士事務所

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自己破産

自己破産とは、裁判所の判断により、借金の支払いを免除・免責してもらう手続きです。借金の原因等によっては、破産が認められないことがあります。

1.自己破産手続の開始

自己破産の手続を開始するには「支払い不能」であることを裁判所に認めてもらう必要があります。そこで、「支払い不能」のおおまかな基準を見てみたいと思います。

支払い不能の基準

  1. 収入から生活必要額を引いた月々の返済可能額を算出し、これに24または36を乗ずる
  2. 一方で負債総額を算出し、返済可能額と比較し、3年かけても返済できないときは、破産手続き開始決定が出る可能性が大

2.自己破産しても免責されない場合

以下の場合は自己破産しても免責されませんので、他の債務整理の方法を考えることになります。

  1. 免責決定後7年を経過していない場合は再度免責を受けられない。
  2. 債務が、悪意(故意)の不法行為に基づく損害賠償債務である場合
  3. 債務が、故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償債務である場合
  4. 破産者が養育者または扶養義務者として負担する費用に関する債務である場合
  5. 債務が、罰金・税金・使用人の給料etc.である場合

3.自由財産

破産手続き開始のときに破産者が所有している財産のうち、破産者が自由に処分できる財産を自由財産といいます。具体的には以下のとおりです。

  • 1.現金99万円まで
  • 2.差押え禁止財産
    • (1)債務者の生活に欠くことのできない衣服・寝具・台所用具
    • (2)債務者等の1ヶ月の生活に必要な食料・燃料
    • (3)農業従事者の農業に欠くことのできない器具・肥料、並びに次の収穫期まで続行するため欠くことのできない種子その他農産物
    • (4)破産手続き開始決定が出たあとに取得した財産は、破産者が自由に処分できる財産です。給与なども破産者が自由に使うことが出来ます。

 

4.手続費用(新潟地裁)

  1. 申立手数料(収入印紙代):1,500円
  2. 予納金 同時廃止事件:10,290円
  3. 予納郵券:(債権者数+20)×80円

5.同時廃止事件の手続の流れ

自己破産事件には大きく分けて2種類の手続があります。同時廃止事件と管財事件の2つです。債務者に、換価して債権者に配当するほどの価値のある財産がない場合は同時廃止事件となります。個人破産の大部分は、この同時廃止事件です。同時廃止事件のおおよその流れは以下のとおりです。

手続の流れ

支払不能
  ↓
債権者一覧表の作成
委任通知・残高回答書の取寄せ
各種必要書類の準備
  ↓
破産手続きの開始の申立
同時廃止の申立
  ↓
債務者審問
  ↓
破産手続き開始決定
同時廃止決定
免責審尋期日の決定
  ↓
免責審尋
  ↓
免責決定
  ↓
公告
  ↓
免責の確定

同時廃止事件では、免責の確定までに4ヶ月程度と比較的短期間で終えることができます。

6.裁判所への提出書類 その1

  1. 破産申立書
  2. 委任状
  3. 陳述書
  4. 資産目録
  5. 家計全体の状況
  6. 債権者一覧表
  7. 住民票
  8. 戸籍謄本

7.裁判所への提出書類 その2 

(資産・収入関係等で場合により必要になる書類)

  1. 生活保護受給証明書
  2. 年金受給証明書
  3. 給料明細書のコピー
  4. 源泉徴収票のコピー
  5. 過去2年分の確定申告書または課税証明書のコピー
  6. 退職金計算書
  7. 通帳のコピー
  8. 生命保険証書および解約返戻金計算書のコピー(掛け捨て型は含まない)
  9. 車検証のコピー

8.破産手続開始の申立

必要な書類が揃ったら、裁判所に出向いて、それらの書類を提出します。裁判所の書記官が必要書類が揃っているかをチェックし、不足があれば追完するよう指示をします。

書類が揃って、申立が受け付けられると債権者への通知に使う封筒を手渡されますので、これに各債権者の宛名を書いて、再度裁判所に提出し、同時に予納金の納付手続を行うことになります。

9.債務者審問

破産申立後、一定期間を置いた後、債務者審問という手続が行われます。この手続は裁判所の指定期日に本人が裁判所に出頭し、裁判官から質問を受けるという手続です。

債務者審問を無事に通過すると、破産手続き開始決定がなされ、後日、「破産手続開始・同時廃止決定正本」が郵送されてくることになります。

また、審問のときに、免責審尋期日の指定がなされます。

10.免責審尋

債務者審問は破産手続開始決定のための裁判官による質問でしたが、免責審尋というのは、免責決定をするために行われる裁判所による事情聴取のことで、主に免責を許可できないような事由がないかどうかということについて聞かれます。やはり、債務者審問と同じく裁判所に出頭しなければなりません。この日までに債権者から異議が出ていて、裁判所から反論書を書くように指示される場合もあります。

審尋のとき、裁判官が債権者の異議申立期間を定め、その期間経過後に免責の可否を決定します。免責決定がなされると免責決定書が、裁判所から郵送されてきます。

ここまで来れば、もうほぼ大丈夫。免責決定が出た旨の官報広告がされ即時抗告期間2週間が経過すると、免責が確定し、自己破産のすべての手続が完了します。